第11回 過労死として認定されたNHK職員の事例から考える~大手有名企業で起こる「年功序列」と「終身雇用」の功罪と進まない「働き方改革」~

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

先日、”また”NHKで勤務されていた40代の男性記者が過労死として労災認定されてしまいました(尚、この方が死亡されたのは2019年)。
皆さまもご存じのように2014年に都庁クラブの女性記者で当時31歳の方がやはり過労死として認定されており、残念ながら再び同じ職場で過労死が起きたという事になります。
「天下のNHKともあろう有名企業が1度までも2度もなんだ!」とか思われるでしょうが、このように過労死やらメンタル疾患を多発させる企業は、NHKに限らず皆さまも一度は聞いたことがある大手有名企業かつ”老舗”企業が実は多いのです。
ちょっとネット等で検索すれば「えっ!まさかあの有名企業でそんなことが・・」というくらい検索でヒットするはずです(ト〇タも例外ではありません。)
ではなぜ、大手有名企業かついわゆる「歴史ある企業」とかでこのような長時間残業そして世にいうパワハラとかが横行するのでしょうか。イメージだとさぞかし労務環境は良さげに見えるはずです。
しかし、そこに特に日本企業のまさに”特徴”といわれる要因が含まれております。
それを私なりの解釈にはなりますが、以下お話したいと思います。

1.まずは「年功序列」です。
当然のことながらですが、こういった大手有名企業の歴史は下手をすると100年近く(いやそれ以上の企業もあります。)あります。そしてまさに日本企業の特徴である「年功序列制度」で成り立ってきていることもあり、その中で若い世代で下の職位になればなるほど、年齢も上の職位者からこれでもかというくらい雑務を押し付けられます。
確かに世間では成果主義が叫ばれそして年功序列をもはや採用していない企業が多くなってきているのは事実ですが、実情としてはまだまだ”根強く”残ってます。
そして、さらに厄介なのは現在の50代以上の方々はいわゆる「昭和叩き上げ世代」であり、「自分たちも若い時は昼夜を問わず働いたもんだ。」などという今では時代遅れの思想に取りつかれた方が多いのも特徴です。特にそういった方々が管理職者になっていると余計に若い世代の方とジェネレーションギャップなんか生んだりします。
そして賃金規定等も、職務等級制に基づいたいわゆる「階段式」を採用している会社も多いのも特徴です。まぁ当然といえば当然ですが、ある程度の上の等級等になればなるほど給与は上がっていきますが、「一足飛びに上の職位や給与」という事はあまりなく毎年数千円ずつ昇給していくような仕組みです(いわゆるロールプレイングゲームで、経験値を稼ぎながら少しづつ上のLvに近づきそしてある一定の経験値になるとLv Upするような仕組みです。)
いずれにせよ、日本のかつ伝統ある企業になればなるほど、実質この「年功序列」から脱却できないのが現状のようです。

2.「終身雇用」の考え方を持っている経営層
上述の年功序列と相まって、未だに根強く残っている思想がこの「終身雇用」です。
トヨタをはじめ多くの企業が「終身雇用は廃止する。」と表明しておりますし、事実人事制度はじめ賃金体系も成果主義的に変えて、測定もKPI等にシフトしている昨今ではありますが、現在こういった企業での経営層及び管理職者層の多くが40代後半から50代、または60代といった方が多いのが現状です。
この世代は上述したようにいわゆる”昭和叩き上げ世代”です。
ちなみにこの「終身雇用」の考え方がやはりどうしても色濃く出てしまう業界が「製造業」です。
それこそトヨタはじめ某大手有名製造メーカーは、AIやロボトロニクスを進めてなるべく人手が要らない生産体制を築いてはいるものの、まだまだ人手に頼らざるを得ない状態であります。
しかも日本はこれまでまさに「技術力」で世界の中でも一歩リードしてきた国であり、その「技術」を活かすにはやはり自社で若手を育成しかつ技術や経験を積ませる必要があり、つまり「育てるのに時間が掛かる」のが現状です。そして皆さまもご存じのようにその若手がいままさに獲得するのが困難な状況です。
更に追い打ちをかけるようにといったらなんなんですが、現在の世代こそ「終身雇用」という考えがが無いうえに、残念ながら自身のスキルや経験を更に高く買ってくれる会社があればとっとと転職するか、更に出来る方であれば会社勤めどころか独立してしまいます(つまり昔のような「会社に貢献する」とかいったモチベーションで働いている方は少なくなってきております。)。

3.経営層やマネージメント層がなかなか改革出来ない
ズバリ、この手の大手の会社はズバリ「保守的」です。
更に前述の年功序列及び終身雇用の考え方も相まって、若い方の意見は結局なかなか通りません。
もちろん、上の方の良く聞くセリフで「若い人はどんどん屈託ない意見を言って欲しい!」とは言いますが(笑)、まず聞いていないかまたは聞いただけでそれを「うん、彼女(または彼)の意見は一理あるな・・」などとはほとんど顧みるということはないです(笑)
なぜ基本聴くことはないかということ、一つは「まだ彼女(または彼)は分かっていない!」と初めから考えているところもありますし、またはその上の人の考え方を変えてまでやるつもりもないでしょうね。そしてもちろん意見を取り入れて実施した際の「失敗」を恐れていることもあります。特にこの手の企業の経営層や管理職の方になれば、まぁ40代後半~60代初くらいのいわゆる「昭和世代」が多いはずなので、残念ながら「逃げ切る」事を選ぶと思いますので(笑)、なかなかいろいろ改革するのは難しいのかなと思います。

とまぁ、今回は結構長めの投稿となりましたが(笑)、皆さまの会社はどうでしょうか??
もし読者の方が若くて一つでも当てはまりそうな要素を感じるならば、もしかしたら他の同僚等も同じこと考えているかもしれませんし、上述した昭和世代の管理職者等の方であり、かつ「なかなか若い世代の方とは会話が合わない」とか「何考えているか分からない。」と感じているのであれば、まさにその会社は若い世代の方が逃げ出す一歩手前まで来ているのかもしれません。

社会保険労務士東拓

上述のような状況でお悩みに会社および人事担当者の方について(または若い世代が早期に辞めてしまう。)、当事務所では無料でご相談も応じております。まずはお気軽にご連絡ください。

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