就業規則で防げるトラブルとは?

1.就業規則で防げるトラブルとは?

「就業規則の力:未然のトラブル予防」

労使間のトラブルは、時に会社の成長を阻害し、信頼関係を揺るがす厄介なものとなります。私たちが寄せられる相談の多くは、実はトラブルが表面化する前に、予防できた可能性がある事案です。

一般的には解雇や残業の問題といった大きな領域がトラブルの焦点と思われがちですが、実際にはそれよりも前段階で、些細な問題が積み重なり、最終的に膨れ上がってしまうことが多いのが実情です。

こうした事態を回避するために、適切な就業規則の整備が必要です。しかしながら、多くの会社の就業規則は、会社の実態に合わないままであるケースが少なくありません。これには改正法への対応が行われていないケースも含まれます。

こうしたトラブル予防のミスマッチを避けるためには、就業規則を会社の実情にマッチさせることが不可欠です。私たちの経験から言えるのは、解雇や残業などの問題が発生する前に、普段は気付かないような些細な問題が積み重なり、最終的には大きなトラブルへと発展していくケースが多いということです。

例えば、コミュニケーション不足や評価制度の不透明さなどは、労使間の摩擦を引き起こす要因となることがあります。適切なコミュニケーションの促進や透明な評価基準の導入は、会社全体の円滑な運営を支える大切な要素です。

私たちは、こうしたポイントに着目し、会社の状況やニーズに合わせた就業規則をご提案します。解雇や残業だけでなく、日々の職場の課題を見落とさず、未然のトラブルを防ぐお手伝いをいたします。

① 無断の遅刻や早退、欠勤が続く社員への応対

日常の職場運営において、無断の遅刻や早退、欠勤が続く社員の取り扱いは、どの企業においても悩ましい課題です。しかし、驚くことに、就業規則上、このような問題に対する制裁が規定されていないケースが多く存在します。

無断欠勤や早退、欠勤を繰り返す社員が、一般的な社会常識から見れば問題行動とされることは明らかです。しかしながら、会社側が明確なルールを設定していない場合、その社員に対して制裁を課すことは難しくなります。

実際の事例として、ある会社では新入社員であるにもかかわらず、病欠と出勤を繰り返す社員が問題となりました。初めは連絡がある程度あったものの、やがて無断欠勤が続くようになりました。時折本人との連絡も取れましたが、その後も無断欠勤が続き、会社としてもこのままではいけないと判断し、解雇処分を下しました。

しかしながら、その後、本人は外部組合に相談し、不当解雇として反論があり、会社側も対応に追われました。この一連の出来事からも明らかなように、就業規則に適切なルールが明記されていない場合、問題行動に対する処分は脆弱なものとなります。

私たちはこのようなトラブルを未然に防ぐために、適切な就業規則の整備を強く提案いたします。無断欠勤や早退といった問題行動に明確なルールを設け、それに基づいて適切な対応をすることで、トラブルを事前に防ぎ、職場環境の健全な維持を図るお手伝いをいたします。

ここでのポイント

もし就業規則に「正当な理由がなく、無断欠勤が7日以上に及んだときは退職処分とする。」等条項が入っていれば、退職または懲戒処分としての解雇が実施出来た可能性がありました。


② 試みの使用期間延長に関するトラブル(専門部門の管理職者候補の事例)

どの会社の就業規則にも「試みの使用期間」というのが定められているものです。

試みの使用期間は、いわば採用した社員が会社の求める職責及び職務に見合う能力や職能及び経験があるかを判断する期間といえます。この試みの使用期間の平均は入社後約3か月ですが、中にはこの3か月ではなかなか判断がつかない社員または、会社が期待していた能力や経験が足りないと感じる社員もいるようで、その時に会社としてはこの試みの使用期間そのものを延長したいと考えることもよくあります。

このケースは、とある外資系企業のとある専門部門の課長候補として入社した方の事例です。その方は、専門部門の課長として入社したのですが、入社後間もなく、課長として本来備わっていなければならない知識や経験が乏しく課長としては致命傷である数字の間違いが多いという事が露見してきたようです。

更に外資という事で親会社の本国とのコミュニケーションも発生しますが、当初期待していた語学力も不足しておりました。課員とのコミュニケーションにも難がったようで(ハラスメント的な言動や態度)、その課の課員からの苦情が人事に相次ぐこともあり、入社後1カ月経った時点で会社としては解雇または退職勧奨で考えていたようです。

但し、本人の性格にも難があるという事から、不必要なトラブルを避ける意味もあり、試みの使用期間を更に3か月延長することとしたようです。

そしてその延長期間中に社長と人事部担当者がその課長に対して退職勧奨としての面談を数回実施したようです(社長も少々感情的になる方だったようです。)。これに対してその課長はご自身でも弁護士をつけて会社に対して「退職強要」として通知送ってきました。そこでご相談を受けて諸々状況を確認する中で、一番の争点となったのは、就業規則内に、確かに試み使用期間の条文はあったものの、それを延長する条文はなかったので、結果として「退職合意書」という事でその本人には退職して頂く事には同意してもらったものの、6カ月分の退職合意金を支払う事になりました。

ここでのポイント

私もこの課長だった方と少々お話しする機会がありましたが、私の感覚からしても明らかに人間性や性格に問題があると感じましたが、一方では採用の段階でその資質を見抜けなかった会社にも責任があり、社長と人事担当者の対応が早急過ぎたこともあり、そして何よりも就業規則に例えば「会社は試みの使用期間の社員の就業状況に照らし合わせて、更に6か月間延長することもある。」等記載もなかったことで会社としては大きな代償を払った結果となってしまいました。

以上、2つの事例をご紹介しましたが、いずれの事案についても就業規則を少々見直しまたは改定するだけで、会社としては例え予防や防止が出来なかったとしても、ここまで大きな代償はなかったのかと思われる事例です。

しかし社内で将来的に予防または防止、軽減出来るリスクを測定し、そして就業規則を改定するのはなかなか困難なことです。

ぜひ、一度私共Office Azumaにご相談ください。

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