1.雇用調整助成金(新型コロナ感染症に伴う特例)とは
雇用調整助成金とは、経済上の理由で事業縮小を余儀なくされた事業者が、雇用を維持するために、従業員に一時的な休業や出向、職業訓練を行った際に受給できる助成金であり、企業が従業員に支払う休業手当の一部を、国が補填するものです。
今回、新型コロナ感染拡大にともなう営業で業績が悪化した企業に対して、通常の雇用調整助成金については、助成の日額上限は1人あたり約8,370円ですが、特例措置ではコロナ禍で業績が悪化した企業の支援策として助成の日額上限が引き上げらており、1人1日13,500円(条件により15,000円)を上限額として、労働者へ支払う休業手当等のうち最大10分の9(条件により最大10分の10)が助成されます。
尚、新型コロナウイルス対策として開始された当初は、手続きが煩雑で入金されるまでに非常に時間がかかることが問題になっておりましたが、2020年(令和2年)6月に手続きが大幅に簡素化され、現行制度ではシンプルな申請様式となっています。
2.受給条件
受給条件は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、直近1か月の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している事業者が、休業手当を支給して従業員を休ませた場合にたいして、手当の費用の一部または全額が助成されます。
原則的な措置の助成率は、中小企業が5分の4、大企業は3分の2。さらに1人も解雇しなければ、同じく助成率が中小企業は10分の9、大企業は4分の3まで認められます。
(特例以外の場合の雇用調整助成金)
- 経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主
- 生産性指標要件→3か月で10%以上減少
- 雇用保険被保険者が対象
- 助成率
中小企業 3分の2 大企業 2分の1
※日額上限 8,370円
令和3年12月31日までの期間感染拡大防止のため、この期間中特例措置を実施 - 休業等実施計画届の提出が必要
- 1年のクーリング期間が必要
- 6か月以上の被保険者期間が必要
- 支給限度日数
1年 100日 3年150日 - 短時間一斉の休業のみ
- 休業規模要件
中小企業 20分の1 大企業 15分の1 - 残業相殺
- 教育訓練が必要な被保険者に対する教育訓練
助成率 中小企業 3分の2 大企業 2分の1
※加算額1,200円 - 出向期間要件 3か月以上1年以内
(新型コロナウィルス感染症に伴う特例)
※令和3年12月31日まで(但し延長の可能性有)
- 新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主(つまり全業種)
- 生産性指標要件を緩和→1か月5%以上減少
- 雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成(緊急雇用安定助成金(令和2年4月1日))
- 助成率
中小企業 5分の4 大企業 4分の3
※日額上限額 15,000円 - 休業等実施計画届の届出は不要
- クーリング期間は撤廃
- 被保険者期間要件を撤廃
- 支給限度日数
1年100日、3年150日 + 上記対象期間中に受給した日数 - 残業相殺を停止
- 解雇等を行わず、雇用を維持している場合
中小企業 10分の10 大企業 4分の3
※加算額 中小企業 2,400円 大企業 1,800円 - 緊急対応機関に開始した出向については
出向期間要件 1か月以上1年以内
※雇用調整助成金(新型コロナウィルス感染症に伴う特例)についてのご相談はぜひ私共社会保険労務士東 拓事務所まで。