第9回「ばれたら返せばいい」では済まない助成金不正受給の”その後”

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

昨日、ニュースを見ておりましたら、たまたま助成金について二つの「不正受給」の事が報道されておりました。
一つは、飲食店経営者で12回にわたり計2257万円を不正に受給したものであり、もう一つは山代温泉で高級旅館を経営する「よろづや観光」とやらが、実際には従業員を休業させていないにもかかわらず休業させたと申請して、やはりこの雇用調整助成金を約1億7千万円を不正受給していたというものでした。

実のところ、ここのところネット等検索すれば例の組織的犯罪にまでなった持続化給付金の不正受給問題と同様、助成金の不正受給も頻発しているようで、それこそ検索すれば1つか2つくらいは何かしら出てくるようです。

しかしながら、私がこの記事をみて私が最初に思ったのは、不正受給をしたこの飲食店経営者でもなければこの観光業者でもありません。それはズバリ「まさか社労士が関与していないでしょうね・・・」という事でした(笑)
というのも、例の国税庁の職員ではありませんが、助成金の不正受給でも、残念ながら社労士が加担して不正受給を行ったケースが多々発生しておりなんとも嘆かわしい限りかなと思います(涙)

ちなみにですが、この雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)は、本来の雇用調整助成金よりも支給要件が随分と緩和されており、ある程度書類が揃っていれば支給されている助成金であり、コロナの影響により休業やら雇用調整をせざるをなかった業種(まさに飲食業界やら観光業界)に対して、例の持続化給付金と同様に、”国の救済支援”だったんでしょうね。

但しですが、いくら助成金の支給要件は緩和されているとはいえ、書類改ざん等のいわゆる「不正受給」はご法度でありましたが、人というのはやはり弱りもので、この助成金についてもかなり「不正受給」が横行してしまいました。
(ちなみに、現在厚労省のHPのこの雇用調整助成金の部分には「雇用調整助成金 不正受給 の対応を 厳格化 しています 不正受給は「刑法第246条の詐欺罪」等に問われる可能性があります」と大きく赤字で表記されております。)

そして、社労士もこの助成金の支給は大きな手数料を得られることから(だいたい助成金額の10~15%)、助成金しかやらない社労士もいるくらいで(笑)、中には書類を改ざんしたり偽造したりして「不正受給」に加担する社労士もおります。

もちろん私共の事務所でも、コロナ特例の雇用調整助成金の申請をお受けしたことは何度もございます。そして中にはですが、「先生”なんとか”助成金を受給できるように手配頂けないか??」とか言われて、法定3帳簿(労働者名簿、賃金台帳、タイムカード)の”暗黙の改ざん”をお願いされたことは1度や2度ではありません。

が、

当事務所では一切お断りして更に当事務所自体”当事務所から”お付き合い自体を止めさせて頂きました

もちろん、不正受給が露見した時のペナルティーの事もございましたが、そもそもですが、失礼を承知で言わせて頂ければ、「不正受給」など考える企業は、一時その助成金で”延命”が出来ても、企業としては完全に「アウト」なので5年後、10年後に健全な企業として生き残っている可能性は0%でまぁいわゆる「終わりの始まり」というやつです。

ちなみにですが、不正受給を行った顛末はどのようなるのでしょうか??

(不正受給をした会社)
1.事業所名等の積極的な公表予告なしの現地調査

 今回のように世間に否が応でも晒されます!
 つまり会社としての信用及び信頼度は0%どころか大きくマイナスに傾きます。

2.「刑法第246条の詐欺罪」等に問われる可能性があります

 最悪、刑事告訴された上に、例の持続化給付金詐欺犯と同様に刑務所行きも十分あり得ます。

3.返還請求(ペナルティ付き)

 もちろん、助成金は返金です! 

 しかもただではありません(笑)

「不正発生日を含む期間以降の全額」+「不正受給額の2割相当額」(ペナルティ)+「延滞金」

 とまぁ助成額+多額の罰則金を返還しなければなりません。まぁ悪いことをしたことについては「それ相応の罰」があるということです。

4.5年間の不支給措置

これは該当した助成金だけではなく、他の助成金についても不支給措置がくだされます。
※まぁ5年経過後も助成金の受給は相当厳しい審査が実施されるので、ほとんど助成金を受給できる望みはないかと・・

(厚労省参考URL)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000919896.pdf

(社労士について)
5年間助成金の支給申請不可(尚、事件が悪質の場合は業務停止または資格剥奪)
※過失でも罰則適用

とまぁご覧頂きましたようにまさに自業自得とはいえかなり厳しい罰則が適用されます。

但しですが、このような不正を働いた企業が5年後以降に運営している可能性は限りなく0に等しく、更に加担社労士ももはや廃業しているケースがほとんです。

つまりは、この不正受給の当事者はもちろん、従業員やご家族皆が不幸になってしまいます・・・

では上記の厚労省のHPが示すようになぜに助成金についても不正受給が絶えないのでしょうか??
当然それはお金が絡むことだからですが、その根底にあるのは「これくらいならバレないだろう。」とかの慢心や「俺は会社(または家族)の為にやっているんだ!」とか自分自身の勝手な思い込みで”正当化”してしまうことも原因ではなかろうかと思います(人は”弱い生き物”です)。

とはいえ、助成金は健全な利用を心がければ、企業を成長させるうえで非常に有効活用が出来るものなので、不正受給はダメですが(笑)、ぜひ積極的に助成金の活用は考えて頂きたいとは思います。

社会保険労務士東拓事務所

PS
繰り返しますが、助成金は正しく利用すれば有効な活用資金となります。
ぜひ当社会保険労務士東拓事務所にご相談ください。貴社にあった最適な助成金と活用方法をご診断いたします。




 

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