就業規則が必要な理由

1.なぜ就業規則は必要なのか?

「就業規則の重要性:会社の「規律」と「安定」の礎」

就業規則がなぜ必要なのか。それは、会社の実態に即した必要不可欠なルールブックが、組織の秩序を築くために不可欠だからです。就業規則は、社員が共通して守るべき「規律」であり、いわば会社の「憲法」とも言える存在です。

このルールブックは、会社内のルールや法律で規定された事項を、全従業員に均等に適用することを通じて、組織全体の行動の基準を提供します。社内の個々の考え方の違いから生じるトラブル、ハラスメントやセクシャルハラスメントなどの問題も、この「考え方の違い」によるものであり、時には深刻な労務トラブルや刑法違反の事態にまで発展することがあります。

こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、会社が一定のルールと基準を設定することは重要です。ルールがない状態では、個人の主観によって行動が左右され、混乱や摩擦が生じる可能性が高まります。しかし、就業規則が存在することで、社員は明確な指針を手にし、安心して業務に取り組むことができます。

さらに、組織の安定性を保つ観点からも、就業規則は欠かせません。労働トラブルや紛争が頻繁に発生する環境では、社員の士気や信頼感が低下し、結果的に業績への影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切に整備された就業規則があれば、紛争のリスクを減少させ、安定的な組織運営を支えます。

結論として、就業規則は会社の「規律」と「安定」の礎であり、社員の適切な行動の基盤となります。社員一人ひとりが同じ基準に基づいて行動することで、円滑なコミュニケーションと信頼関係が築かれ、組織全体の健全な成長が支えられます。企業の未来を守り、発展させるために、就業規則は不可欠な存在なのです。」

2.未然にトラブルを防ぐ必要性からの就業規則

平成13年10月に個別労働関係紛争解決制度が平成13年10月から施行されました。

そしてこの個別労働関係紛争解決制度の労働件数、あっせん申請受理件数等は近年激増しております。

(主な個別労働関係紛争の相談内容)

  1. いじめ・嫌がらせ
  2. 解雇
  3. 雇止め
  4. 労働条件の引き下げ
  5. 退職勧奨
  6. 出向・配置転換
  7. その他の労働条件

このように企業において、個別労働関係のトラブルが日常的に発生しており、そして今回の新型コロナウィルスの経済に及ぼす甚大な影響もあり、今後ますます労働関係に関する問題の発生件数は増加していくものと思われます。

このような状況の中で、労務管理上のトラブルの防止または低減を図る理由からも、今後「就業規則」をいかに会社の実態に即して、事前にかつ早めに整備していくことが重要であると言えます。

しかしながら、多くの企業では普段なかなかこの就業規則を見直されることは少なく、事実、労務問題が発生した際に、就業規則の規定内容やその運用実態が、判断の重要なポイントなります。更に解雇の濫用等に該当するか否かの判断については、その合理性の判断基準として就業規則内の解雇事由の該当規定に該当するか否かが争点になることが多いのですが、残念ながら多くの企業が実態に即していない等の理由で、たとえその労働者が問題があったとしても、結果として企業側が不利な判定をされる結果となる事例が後を絶ちません。

以上の理由からも、企業側としては、労務管理リスクを抑制するための根幹をなすのが「就業規則」であるということを十分に認識していただき、なるべく早めに労務管理トラブルを防止または軽減するための就業規則の整備を、私共社労士にご相談頂ければと思います。

※個別労働紛争解決制度とは

個別労動紛争解決制度とは、労働条件等をめぐって個々の労働者と事業主との間で生じた個別労動紛争について、迅速かつ適正な解決を図ることを目的とした制度です。

具体的には、紛争解決援助制度があります。

  1. 総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談
  2. 都道府県労働局長による助言・指導
  3. 紛争調整委員会によるあっせん

個別労動紛争解決制度は、雇用形態の変化等に伴う個別労動紛争の増加を受けて2001年に制定された「個別労動関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、各都道府県労働局において整備されており、各制度はすべて無料で利用することができます。

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