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1.社労士の顧問料の適正価格とは
顧問社労士の報酬料としての適正価格または平均価格というものが果たしてあるのでしょうか。
結論から先に行ってしまうとズバリの適性価格や平均価格は存在しないと言えます。以前までは全国社会保険労務士会連合会が定める報酬基準をベースに、各都道府県の社会保険労務士会が報酬の基準額を定めていましたし、今もその社会保険労務士会より参考資料として顧問報酬についての指針は出されております。
そのため、どの社労士事務所もその基準額に則って各種報酬を定めておりました。しかし、現在はそういった基準はなく、それぞれの社労士事務所で自由に報酬を設定できるよう定められておりますが、今もなおその報酬基準をもとに設定している事務所も多いようです。
もちろん委託する内容によっても顧問料は変わりますし、コストを抑えたいのであれば、労務相談やその相談に対するアドバイスのみにする等で顧問契約を結ぶ社労士も多く存在します(メールのみを相談の手段として顧問料を低めに設定している社労士もおります。)。
そして中には、各都道府県が定める開業社労士の報酬表よりも遥かに廉価に顧問料を設定している社労士もおります。いずれにしても、社労士の顧問料についてはその社労士の顧問についての考え方と、経験及び得意または不得意とする分野により顧問料は様々であると言えます。
2.安易な選び方をすると安かろう高かろうの結果になることも
上述のように、社会保険労務士の顧問料は社労士によって千差万別です。そのため社労士に対していわゆる社会保険または労働保険のプロフェッショナルという意識はあっても、「どの社労士もそう変わらないのではないか」と考えている方も多いのが事実です。
もちろん顧問料は相場に比べると比較的廉価であり、かつ非常にクオリティの高い顧問サービスを提供する社労士はたくさんおります。
但し、一方では、会社と私共労務のプロフェッショナルである社労士の間で締結した「顧問契約」という折角の「縁」が、残念ながら途中でその顧問社労士が解任または交代するという事は少なからず起こっております。逆に高いからといってその社労士の質が高いかといえば、実際顧問契約は締結したものの結局会社が期待していた効果がなく、結局顧問契約を途中で終了となるケースもあるようです。
実際どうしてこのような事が起こるのでしょうか。
① まずは圧倒的なコミュニケーションスキル不足
一番に挙げられるのが多分このコミュケーションスキル不足かもしれません。社労士に限らず弁護士、司法書士等も非常に難関といえる試験に合格して士業登録に至っております。
一方では、このような難関な試験を試験一筋にして長年人との交わりを絶って勉強しかつ合格してきた弊害から、企業人として勤めた経験はもちろん、人との交わりが極端に少なかった方が多いのも事実です。ましてや難関試験になればなるほど、元々よく言えば「非常に真面目」な方が多く、見方を変えれば、「コミュニケーションが苦手」という方も多いのが事実です。
しかしながら、社労士については、司法試験や司法書士試験に比べると難関といえど、難易度は下がりますし、ましてや効率的に学習計画を立てれば仕事をしながら合格をする事も十分可能です。そのためか、社労士試験はビジネスマンに結構人気のある資格で色々な分野の方が試験に挑戦しているようです。
但し、その中でも多い部門としてはやはり人事や総務を筆頭とした事務部門の方が多いのも特徴です。こういった部門は会社内の事務系の方とうのはそもそも外部のコミュニケーションを活発にしていた人が少なく(外部のコミュニケーションは基本的に取引業者)、やはり苦手としている方も多いのも特徴です。
そのため、どうしても経営者または会社の担当者との間にミスコミュニケーションを発生し易かったり、あるいは本人に悪気はなくても、相手に不快感を与えたりすることも少なくないようです。
② 経験不足や知識不足
社会保険労務士でも専門とする分野(労働保険関係なのか社会保険関係なのか)はそれぞれ違っており、得意とする業界も異なっているようです。もちろんほぼ全般に強い社労士も少数ながらいるようですが、決して多くはありません。
その中でも、実務経験というよりは企業での経験自体が少ない方も多いので、社会保険労務士という法律家としての視点があっても、会社や労働者としての「視点」が今一歩分からないという社労士も少なくありません。
更に業界についての知識が不足している社労士が、その業界の「風土」「慣習」そして「社員像」を理解しないまま顧問の社労士として就労した場合、かえって会社が混乱したり、トラブルが肥大化することもあるようです。
③ 相性や考え方の相違の問題
残念ながら、社会保険労務士といえど一人の人間なので、どの企業の経営者あるいは人事(または総務)の担当者と相性が合うわけではありません。
こればかりはどうしようもない問題ですが、とかく社労士を開業したてであると、どうしても顧問契約を結びたいがために顧問料自体を低く設定した上に、本来その社労士の相性や考え方に合わない会社でも無理に顧問契約を結んだがゆえに、結局途中で会社と社労士の顧問関係が上手くいかなくなりどちらからか契約解消となるケースも多くございます。
当事務所は私共の事務所の理念や考え方をまずはご説明をさせて頂き、かつその会社の方向性や考え方が私共と共存出来るかを判断させて頂きます。そのため、折角ご相談頂いても当事務所より顧問契約をお断りする事もございますので予めご了承ください。