第6回 労働基準法106条「周知義務」の限界

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

すみません、少々時間が経ってしまいましたが(笑)、久しぶりに投稿です。
再三本コラムでお伝えしておりますが、とにかく普段就業規則をいかに「周知」及びどれだけ従業員に理解させることが重要です。

労働基準法106条には、以下条文が記載されております。

”使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第5項及び第6項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。”

と、あります。
あくまでもこの労働基準法106条に従い、会社にイントラネットに掲示、従業員に配布または極端な話しどこか会社の公の場とかに就業規則他関連規則をファイルにして保管して、「ご自由にご閲覧ください。」とかにしてもまぁ十分「周知義務」を会社として周知義務を果たしましたとはいえます。従業員より「えっ!聞いてないよ!」などと言われることもありません。問題ないです。
但しですが、ここで内容を「理解しているかどうか??」は全く別問題です。
そしてこれも繰り返しになりますが、就業規則について、まずその従業員が何か手当とか休日とかまたは極端な話会社と労争にでもならないと見ることはないですね。
(私も会社の人事や総務の方以外で、「就業規則の内容は把握している。」はほとんどお会いしたことがありません。更に人事や総務の方でも内容をお伺いしていると「怪しい」という方はかなりおりました(笑))

そして世の中のほとんどの就業規則の条文の記載は労基法通りかまたは「もやっ」と書かれている事が多いです。
そのため、従業員にしてみると教えても「なんとなく分かった」しか実は分かりません(笑) 
「それではしっかり細かく従業員の権利、義務そして禁止事項と記載したら良いのでは??」とか言う方がいらっしゃるかもしれませんし(笑)、実際そのように就業規則を「細かく記載して改定してくれないか??」と要望してきた企業もありました。確かに、会社にとってもその方が説明をし易いですしかつ会社としてもの方が従業員には説明し易いかもしれません。
そして実際そのように記載することも出来なくはありませんが、しかしこういった労務問題等は「似たようなケース」はあっても全く同じですよなどというケースはありません。そのため具体的に書けば書くほど、その時の事例と違うポイント等があると、かえって「つっこみどころ満載」となり(笑)、デメリットが実は大きいということが言えます。(何より、従業員が内容を理解できなくなります。)

以上、周知義務にはズバリ「限界」があります。なるべく就業規則の条文が問題を回避するにはそれではどうしたら良いの??
次回はそれについて具体的に私どもの事務所の考察を少々述べてみたいかなと思います。
それでは本日はここまで!

社会保険労務士東拓事務所

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