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第8回「すかいらーく、5分未満の切り捨て賃金支払いへ パートらに16億円」から考える

2022-06-08

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

本日、Yahooニュースを見ておりましたら、件名にもございます「すかいらーく、5分未満の切り捨て賃金支払いへ パートらに16億円支払う」旨の記事が載っておりました。
丁度先日も「15分単位の勤怠管理」が違法である旨が記載されており、意外にこの手の分単位での切り捨てを実施している企業が多いというのあらためて実感した次第です。

ところで、

「なんだか分かるような分からないような・・・??」という方の為に少々分かりやすく説明すると、タイムカード等を簡単言えば15分ごとに集計するという事です。まぁそれを、15分間隔に満たない場合はバッサリ切り捨てるという事です。例えば16:42分とかにタイムカードを押して帰宅した場合は、16:30分にするという事で、つまり12分は切り捨てられてしまいます。

「えっ、それって普通にやっていたけど、違法なの?」とか思った方。

ハイ、ズバリ違法です! 
5分、10分で切り捨ててよいなどの労基法の条文はどこにもありません。1分でも支払いわなければなりません。

そのためもし労働者が「未払い残業代(または賃金)が〇分単位で切り捨てられており、切り捨てていた分会社は払え!」とかなんとか訴え出たら、まず会社側は負けます。今回のすかいらーくの事例も恐らくその手の問題で遡って2年間分支払うことになったのではないでしょうか。(ちなみにですが、2020年4月より、未払い残業代の時効期間はそれまでの2年から3年に延長されております。


実は、結構この事をしらず、当然のように1分単位どころか、そして今回のすかいらーくの5分単位切り捨てどころか(笑)、15分単位とか私の知り得ている限りで言えば、30分単位の集計をしているところもあり、世に言う大企業でさへこれを平然として行っております。

しかしながら・・・

「労働者の権利」として「仕事をした分だけ当社はキッチリ払います!」として闇雲に1分単位でまぁ残業を支払う「仕組み」を実施したらどうなるのでしょうか。もちろん、とんでもなく人件費が上がります。
恐らくこのように直球に記載すると、多くの方は「えっ、社労士のくせにあんたがそれを言ってもいいの!」と言われそうですが(笑)、ここでちょっと待ったです!
「〇分単位の切り捨て」で問題となる会社のほぼ大半が、そもそもですがキチンとした従業員の労務管理がされていないケースがほとんどで、まぁ中には管理職者がろくすっぽ社員の労務時間や残業も把握せず勝手にやらせているケースさへあります。「えっ、労働者自身が働いた分だけ1分単位でつけて良いのであれば特に不満は出ないのでは??」とか考えてしまうかもしれませんが、まぁこの手の会社のほぼ大半がまず社員は残業はつけてないので(または残業としてつけらない会社体質)、当然労使間の関係は良くありません。
そのため、ある日突然労働者の堪忍袋の緒が切れて、「サービス残業を散々やらせらました!1分単位でキッチリ払ってください!」なんて事になるわけです。

繰り返しになりますが、労働時間の集計は日単位では1分単位で集計することが必要です(月の集計の丸目は判例でOKとされております。)。
そこももちろん重要な事ではありますが、なぜこんかい外食会の大手グループであるすかいらーくが5分未満の切り捨ての件、そして16億もの未払い賃金を支払ったかを考えてみてください。
常日頃キチンと社員及び労務管理をしており、特に残業などは会社側が従業員の労働量を把握しかつ36協定等にも抵触しないように管理していれば決してこの手の問題は、そうそう起こらなかったのでと考える社労士でございます。

本記事が気になった方は、今一度会社の「就業規則」をご確認ください。
もし上述のように勤怠管理について〇分単位は切り捨てるとか記載されており労基法に抵触している可能性があります。そして後からすかいらーくの事例のようにとんでもない未払い賃金を支払わなくてはならいない可能性もございます。
就業規則改定だけでなく適切な労務管理フロー導入(労使間または組合との交渉を含む)を多数経験してきております当事務所にご相談ください。

社会保険労務士東拓事務所

   




第7回AMAZONの宅配委託された「運送会社」と「個人ドライバ」の是正勧告事例について考える(業務請負契約)

2022-05-29

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

本日(5/29)、知人の方からネット通販最大手かた誰もが知る「アマゾン」の荷物の宅配を運送会社から業務委託された個人事業主について、労働基準監督署より「丸和運輸機関」という会社が是正勧告を受けたという事例でした。


「なんとも分かりにくい!」という声が聞こえそうですが(笑)、是正勧告の内容は早い話が、その運送会社との業務委託で働いていた「個人ドライバー」の方が、労働基準法の「労働者」にあたり、かつその運送会社とのそのドライバーが、「雇用関係」にあたるという内容であり、そのため時間外労働をするにのあたり(または休日労働)36協定の届出が必要なところ、それが労働基準監督署に出されていないという内容でした。

もちろんその運送会社と「個人ドライバー」との間には「業務請負契約」はあったのでしょうが、「業務請負契約」において、”依頼者”(この場合はその運送会社)は指揮命令はしていけないとしております。あくまでも委託者は「成果物」のみ要求してそれに対して”受託者”(この場合はその個人ドライバーです。)は完成物を提出するのみです(この場合は預かり荷物の集配)。

もちろん、アマゾンのような大手かつ鬼のように集配が行われる会社で、「個人ドライバーさん、業務委託契約に則り宅配物をそちらの裁量で集配してください。」などの業務請負契約が実質成立するとは思えず(笑)、基本的には労働者のように、運送会社から「細かい指揮命令」があった事は容易に想像できます。(まぁこれは私の勝手な想像ですが、アマゾンもその実態は知っていたのでは・・)

それでは何故このように個人ドライバーと雇用契約ではなくて「業務請負契約」を結んで働かせていたのでしょうか?
もうお分かりになると思いますが、依頼会社としては雇用関係にして「煩わしい雇用管理の手間」を省きたいとか、社会保険料等いわゆる「余分な費用は払いたくない!」とかもあります。しかしもう一つ上げるのであれば、アマゾンをご利用した方は分かると思いますが、集配の方は大変な数を朝から晩まで、休みなどは関係なく無茶苦茶く配送しなくてはならないという「現実」があります。そしてそのためには、労働基準法36条を「なんとかすり抜けなければ・・・」と考えたいわゆる”苦肉の策”がこの「業務請負契約」かなと思います。

「なるほど、アマゾンもその運送会社も酷いな!」と、思われた方、すみませんがこれは”ほんの氷山の一角”です。
残念ながら、これも私の経験上ですが、対会社間はともかく、私が携わったこの個人と会社で結んでいる「業務請負契約」は「雇用契約」というのが実態で例外は一つもありませんでした(つまり”偽装請負い”です(笑))。

それではなぜ今回、このアマゾンから委託を受けたその運送会社と個人ドライバーの契約がこうしてクローズアップして世に報道されたのでしょうか。

まぁ簡単に言えば”見せしめ”です。
つまり労働基準監督署もその辺は実態はキチンと把握しており、「AMAZON」という会社をこうやって出せばインパクトは絶大でいわゆる”見せしめ”効果も抜群なので(笑)、特に運送会社とか多いのですが、労働基準監督署としては「知らないと思って”偽装請負い”を継続していると、いずれ刺しますよ!」といういわゆる”警告”なんでしょうね・・・

ちなみにですが、「偽装請負い」と労働基準監督署から認定されてしまいますと、個人ドライバーは「労働者」と認定されてしまいますので、遡って(時効では3年前までですが、悪質行為が認定されたら10年となります。)残業代等請求される可能性があります。認定されて以降ではありません。しかも利息を付けての時間外労働分の手当を支払わなくてはなりません。
そして当然のことながら36協定届出違反ともなりますので、是正勧告を受けた上で様々なペナルティーが課せられます(助成金や補助金の審査にも影響が出るかもしれません)。

但し、なかなか「業務請負契約者」まで把握して企業の雇用管理の実態を把握している社労士は少ないかなという気がしますので(業務請負契約は民法の範囲なので、そこでいうと社労士の法律の中には民法は出てこないので・・)、もし「うちの会社は大丈夫か??」と思われた方は、一度当事務所にご相談頂ければ幸いです。
それでは SeeYu

社会保険労務士東拓事務所

第6回 労働基準法106条「周知義務」の限界

2022-04-24

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

すみません、少々時間が経ってしまいましたが(笑)、久しぶりに投稿です。
再三本コラムでお伝えしておりますが、とにかく普段就業規則をいかに「周知」及びどれだけ従業員に理解させることが重要です。

労働基準法106条には、以下条文が記載されております。

”使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第5項及び第6項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。”

と、あります。
あくまでもこの労働基準法106条に従い、会社にイントラネットに掲示、従業員に配布または極端な話しどこか会社の公の場とかに就業規則他関連規則をファイルにして保管して、「ご自由にご閲覧ください。」とかにしてもまぁ十分「周知義務」を会社として周知義務を果たしましたとはいえます。従業員より「えっ!聞いてないよ!」などと言われることもありません。問題ないです。
但しですが、ここで内容を「理解しているかどうか??」は全く別問題です。
そしてこれも繰り返しになりますが、就業規則について、まずその従業員が何か手当とか休日とかまたは極端な話会社と労争にでもならないと見ることはないですね。
(私も会社の人事や総務の方以外で、「就業規則の内容は把握している。」はほとんどお会いしたことがありません。更に人事や総務の方でも内容をお伺いしていると「怪しい」という方はかなりおりました(笑))

そして世の中のほとんどの就業規則の条文の記載は労基法通りかまたは「もやっ」と書かれている事が多いです。
そのため、従業員にしてみると教えても「なんとなく分かった」しか実は分かりません(笑) 
「それではしっかり細かく従業員の権利、義務そして禁止事項と記載したら良いのでは??」とか言う方がいらっしゃるかもしれませんし(笑)、実際そのように就業規則を「細かく記載して改定してくれないか??」と要望してきた企業もありました。確かに、会社にとってもその方が説明をし易いですしかつ会社としてもの方が従業員には説明し易いかもしれません。
そして実際そのように記載することも出来なくはありませんが、しかしこういった労務問題等は「似たようなケース」はあっても全く同じですよなどというケースはありません。そのため具体的に書けば書くほど、その時の事例と違うポイント等があると、かえって「つっこみどころ満載」となり(笑)、デメリットが実は大きいということが言えます。(何より、従業員が内容を理解できなくなります。)

以上、周知義務にはズバリ「限界」があります。なるべく就業規則の条文が問題を回避するにはそれではどうしたら良いの??
次回はそれについて具体的に私どもの事務所の考察を少々述べてみたいかなと思います。
それでは本日はここまで!

社会保険労務士東拓事務所

育児・介護休業法改正のお知らせ(2022年4月1日)※次回2022年10月1日

2022-04-02

既に厚労省から告知されているように、育児・介護休業法が2022年4月1日より段階的に改定されていきます。
今回の改正の大きなポイントは、出産・育児の休業を取得しやすくすることと、特に男性の育児休業取得を後押しすることで、「夫婦間で交代で育児を分担」かつ育児による離職を提言させることが大きな目玉となります。
2022年4月1日からの改正ポイントはいわゆる取得要件の緩和措置であり、これまで「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件がありましたが、今回の改正でそれが撤廃されました(※但し、労使協定で引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可)。
尚、2022年10月1日にも改定が実施され、この時の改定では、いわゆる「産後パパ育休」と「育児休業の分割取得」が大きな改正点となります。
(詳しくは以下、厚労省URLをご確認ください。育児・介護休業法について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

2022年4月1日の改正は分かりやすいのですが、2022年10月1日の改正点は実務上やや複雑で、会社の状況によっては、就業規則はじめ各種規定の改定も必要になるかもしれません。
詳しくは当事務所までご相談ください。

社会保険労務士東拓事務所

令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されます~厚生労働省~

2022-03-12

現在、65歳未満の方の在職老齢年金制度は、総報酬⽉額相当額と⽼齢厚⽣年⾦の基本⽉額の合計が「28万円」を超えない場合は年金額の支給停止は行われず、「28万円」を上回る場合は年金額の全部または一部について支給停止されます。
この在職老齢年金制度が見直され、令和4年4月以降は65歳以上の方と同じように、総報酬⽉額相当額と⽼齢厚⽣年⾦の基本⽉額の合計が「47万円」を超えない場合は年金額の支給停止は行われず、「47万円」を上回る場合は年金額の全部または一部について支給停止される計算方法に緩和されます。ー厚生労働省HPより抜粋ー

この65歳未満の方への在職老齢年金制度の見直しに伴い、現在雇用保険上の高年齢者雇用継続給付についても企業によっては色々賃金についての見直しをする必要があるかもしれません。
賃金の設定および見直しについては、当社会保険労務士東拓事務所にご相談ください。

第5回 労働基準法第41条「管理監督者」の定義とは??

2022-02-24

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

これまで当事務所の社労士は、本当に様々なまぁいわゆる「特殊な労務トラブル」に遭遇して参りました。
ちなみに、敢えて「特殊な」と申し上げたのは、その労務トラブル自体は、よく聞くケースではありましたが、そのトラブルの張本人がいわゆる「特殊な方」もっとはっきり言えば「変わった方」が多かった気がします(笑)
こういう方には、残念ながら、「普通考えれば分かるだろう!」という事がほとんど通用しません。
そんな中でも、管理職者にまつわるトラブルで、かつ就業規則が争点となった事件を一つ紹介しましょう。

この方というのは、とある企業の経理課長で、会社に対して本当に「突然」、「未払い残業代を支払え」という労働審判を自身の弁護士を通じて申し立てを行いました。

と、ここまで書けば、よくある「名ばかり管理職者が未払い残業代の申し立てをしたんだな。」とか思われるでしょうが、ところが本件はそう簡単なものではありませんでした。
そもそもですが、こちらかの質問として、「それではあなたは、ご自身が管理職者としての裁量権や権限を会社から与えられていないというのですね。」と何度か裁判の席で質問状等送ったのですが、回答としては「のらりくらり」される有様で、労基法41条に定める自身が管理職者ではないとハッキリ抗弁するのでもなく、ただひたすら「未払い残業代を支払え」でした。
(もっとも後々裁判でご自身が不利になり始めたら、「管理職者の権限がない。」などいきなり方向転換をし始めましたが・・)

但し、やはり裁判上での抗弁も、相当変わっていたこともあり、一時裁判では会社が有利になりましたが(客観的にみても、取ってつけたような主張だったので)、その際本人の抗弁としては、これまたびっくりですが「就業規則のどこにも管理職者には残業を支払わないとは書いていない!」などとも主張し始めました。


そして最終的な結論ですが・・・

残念ながら会社が敗訴しました・・・

もちろん裁判途中で会社に好意的であった裁判官が交代するという不測の事態もおきたことも原因ですが、何よりもこの手の告訴(労働基準法41条における管理職者としての地位確認)を起こされた場合、会社側でどのような就業規則を整備していようとも、そしてどのような主張をしていてもやはり不利になるケースがほとんどと言えます。

何度も繰り返しますが、就業規則をキチンと法令に則りかつ実情を踏まえ整備しておくことは重要ですが、それ以上に重要なのは、まずは雇用管理と社員のモラル教育を徹底させること。常日頃そして就業規則他規則類を従業員に「周知」させることが重要なのかと思います。

社会保険労務士東拓事務所

第4回 どこの就業規則にもある”無断欠勤”の定義とは??

2022-02-12

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

社労士の中でも、就業規則の作成、改定といった事をいわゆる「メイン業務の一つ」としている方は多いようですが、残念ながら、どれほど良く作られたり改定された就業規則でも完全に労使間のトラブルを防げるものはまぁハッキリ言えば「この世に存在しない。」といえます(法改正にともない、就業規則の条文が合わなくなっての改定や作成であればまだ話も分かりますが・・・)

とある企業で、遅刻及び欠勤を繰り返す社員がおりました。
一応就業規則上では、「正当な理由なくして、無断欠勤7日以上におよんだとき。」等定められており、結局この社員は解雇することになったようです(もっともそんな社員ですからかなり変わった性格なうえに、働き具合良くなくかつ同僚からの評判も良くなかったようですが・・)。
会社としても、何度か「このままでは就業規則の規定により、解雇せざるを得ないよ。」とか本人に何度か伝えていたようですが、結局最後はその本人と連絡すら取れなくなり、会社としては解雇通知も送ったようです。
ところが問題はこの後であり、その後突然本人から「不当解雇だ!」と弁護士を通じて通知があったようです。

結局この事例はどうなったか?

結論を言えば、その本人には退職してもらいましたが、会社としては数か月分の給料および退職金を含めて多額お和解金を支払うこととなりました。

辞めてもらったからよいのではと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、上記のようにその社員に明らかに帰責理由がある中で、就業規則に則って処置した結果、「多額の費用」が掛かっているのですから、会社としては溜まったものではありません。
それでは何故このような結果となったのでしょうか。
実は、上記の「正当な理由なくして、無断欠勤7日(休日含む)以上におよんだとき。」が最後論点になったのですが、その中で会社が本人に電話したりあるいは本人宅に訪問した際、何度か本人自身が応対したことがあり、その際本人は、「いや会社には出社します。」と伝えていたことと、記録らしい記録を会社がつけていなかったことで、結局「痛み分け」という結果となってしまったようです(まぁついでに言うと弁護士も弁の立つ方だったので。)。

つまりこの事例で言えるのは、どんなに細かく記述している就業規則でも、所詮こういった労働審判だの裁判だのに持ち込まれた場合、色々な角度から「屁理屈」を述べられるので、そうなったら一体どこまで会社としてその屁理屈に対して「切り崩せるか?」が争点となりますが、まぁ正直なところ、上述しているような社員であっても100%切り崩すのは至難の業といえます。

実は、この事例の会社から当事務所にご相談があったのは、この訴訟についての和解が成立した後で、その相談内容は、ずばり「罰則部分を見直しをしてくれないか?」という事でした(当事務所がこの件にかかわったのつまり事件後です。)。
もちろんご相談には応じてその後改定も行いましたが、その際、会社及び人事ご担当者にお伝えしのは、「就業規則を改定することはいくらでも出来ます。但し、それだけ就業規則で全て解決するわけではありません。」とお伝えしました。

さて、ここまで就業規則の「実態」を記載すると、「それじゃぁ就業規則を改定しても意味ないじゃん。」とか考える方もいらっしゃるかもしれませんが、言っておきますが、法改正に伴い就業規則を改定することももちろん必要ですが、会社の実態に合わせて就業規則を改定しておくことはそれでも必要です。
もし実態に合わせて就業規則の改定をしていなかった場合は、上記のような例どころではありません。会社はもっと酷い状態となります。

就業規則の改定だけではあらゆるトラブル等に対応する事は出来ません。要はその前にそういった「問題社員が出ないようする。」といった日頃の労務管理が重要になってくるわけであり、簡単に言えば、「そのような状況にならないようにする。」がまずは第1に考えることかなと思います。

社会保険労務士東拓事務所


第8話 GIVE&TAKE-アダム・グランド著- ~「与える人」こそ成功する時代~

2022-01-24

久しぶりに「心に突き刺さる1冊」のご紹介です!

いつもお伝えしている事ですが、本好き社労士の私は暇さへあれば本を読みます。
但しですが、まぁだいたい読む範囲は決まっており、ビジネス系か啓蒙系がほとんどですね。次に読む本をどのように見つけるかというと、1.知り合いから勧められる 2.評判になっている本をチェックする 3.本屋で前面棚に飾られている本を見てチェック とまぁこのようなところです。
但し、新書で買うと結構いい値段がするのも多いですので、書店で新書を買うのはまぁ稀で(笑)、ブックオフ等で購入しますね(ちなみにブックオフオンラインは欲しい本をサっと探せ、かつ近くの店舗に送ってくれるので本当にお勧めです!)

さてさて、今回も前置きが長くなりましたが(笑)、そんな本好き社労士が皆さまにお勧めする一冊が今回ご紹介する「GIVE&TAKE~「与える人」こそ成功する時代~」ーアダム・グランド著ーです。

この本の面白いところは、ビジネスにおける人のタイプを、”ギバー(Giver)”、”テイカー(Taker)”そして”マッチャー”という3タイプに分けて論じていることです。
詳しくは本を読んでくださいの話ですが、本当に簡単に本の内容を説明すると、ギバーというのは、まぁ他人のために”尽くす人”であり、簡単に言えば”お人よしで自分の事より他の方のために働く人”です。
そして”テイカー”というのは、まぁ打算的で自分の益のために突っ走るタイプです(笑)
マッチャーはその中間みたいな感じ(?)の人です。

ちなみに、この中で一番損をするタイプがギバーであり、お人よしのゆえにまぁ”バ〇をみる”らしいです(笑)
しかしながら、最終的に成功するタイプもこのギバーらしく、そしてこの本のサブタイトルにもあるように(「与える人」こそ成功する時代)、このギバーを主体として、それ以外のギバーとは対極をなすテイカー、そしてまぁ中間ともいえる(?)マッチャーの事が語らています。

ちなみになぜこの本がお薦めかというと、恐らく読んでみれば分かりますが、恐らくご自身が「どのタイプに属するのか?」または「近いのか?」が当てはまると思いますが、私の場合は、ほぼ完全に「ギバー」でありそうやって自身をどのタイプかに当てはめて読まれると面白いのと、自身の「反省」にも繋がるのではないでしょうか。
(ちなみに、私はほぼ完全に「ギバー」でした(笑))

私が以前お薦めした「バビロンの大富豪」にも少々似たエッセンスも感じられる本なので、ぜひ仕事での方向性に迷ったらお読み頂きたい1冊かななんて思います!(^^)!

それではSee Yu

人気がある本なのか、比較的入手はしやすいですが意外と中古本でも1,000円以上してしまいます(*´ω`)
但し、400P近くありますし、結構読んでいて共感出来る部分も多いのでそれだけ出す価値はあるかななんて思います。


第3回目 実は普段相手にもされない就業規則の悲しき宿命 その3

2022-01-19

就業規則のいろは ~とある社労士の独り言~

さてこの就業規則のテーマも最後になります。
繰り返しますが、就業規則は労使間トラブル等以外はほぼ注目される事はまずないかなと思います。
(少なくとも一般の従業員は就業規則をそれまでまともに目を通すことさへないかと・・)

しかしながら、このトラブル防止のためという事に就業規則を見直しまたは改定の必要があるという事も、私がここでとやかく語るまでもなく、「就業規則」のキーワードで検索すれば、ほぼ同じことをご自身のHP等で仰っている弁護士や社労士の先生方もたくさんいらっしゃるのかなと思います。
しかしです。私の経験上、就業規則をいくらトラブル防止という観点で作成または改定しても、

残念ながら実際労務士間トラブルが発生した場合、それでも会社側が不利になるケースがほとんどです。

そして・・・

訴訟等であれば、それが規定に条文として盛り込まれていても、そして労働者の方に問題があっても会社が敗訴するケースが多々あります。

一体どうしてそのようになるのでしょうか。
実はこのように労使間トラブルが発生した場合、行政としては労働者保護の観点に傾きますので、どんなに就業規則の罰則部分に規定として盛り込まれていたとしても、そして労働者の責めに帰すべき理由があったとしても、結局会社が不利になってしまう事の方が多いのです。

「それでは就業規則をいくら整備しても意味が無いじゃないか!」とか言われそうですし、敢えて申し上げるのであれば、上記のように就業規則の罰則部分等にいくら色々な事を盛り込んだだけであれば、もしかしたら改定した効果も半減するかもしれない。」とも言えます。

多くの方が就業規則を”活かす”重要な点が実はここにあります。
残念ながら、ここを強調している先生もあまり多くいらっしゃらないようです。

それは、ズバリ労働基準法106条の「労働者への周知義務」です!

特に就業規則の「服務」及び「罰則」部分はそれこそ強調して本当に「周知」させ要は未然に労使間トラブルを出来るだけ回避する事につきます。

残念ながら、就業規則のこの「周知義務」については、会社で良くてサラッと就業規則は読むか、プリントアウトした従業員に渡せば良い方で、下手をすると就業規則がどこにあるかさへ分からないし見たことがないという従業員がいる会社も世の中には多く存在します。

そしてその周知させる方法ですが、これはとにかく「服務」及び「罰則」については違反するとどうなるかを折りにつけ従業員に伝える事です。


そうすることにより、従業員も反射的に服務または罰則に抵触する行為や言動を慎むようになります。


つまり就業規則でトラブルを防ぐのではなく、そもそもそのような行為や言動にはいかないようにすることが最善の方法なのです。

以上ですが、次回は就業規則に関して、実際起こったトラブル事例をいくつかご紹介していこうかと思います。

社会保険労務士東拓事務所

事務所紹介

2022-01-16

社会保険労務士東拓事務所より、2022年から始める、当事務所のあらたなる企業プロジェクト「TAzSR」として、この度Facebook上の当事務所サイト内に、紹介動画を製作しました。
当プロジェクトは、私共社会保険労務士東拓事務所が助成金、給与計算、就業規則やその他顧問社労士業務を単なる事務代行として請け負うわけではなく、会社の経営戦略や成長のステージに合わせた「人材戦略」も広くサポートする社会保険労務士事務所であり、まさに会社と私共と「Win to Win」の関係を構築する社労士事務所であることを知っていただくために立ち上げました。

”Awake Your Business Force”

2022年からの会社のあらたな成長のステージを私共社労士事務所がご一緒に強力にサポートをさせて頂きます。

(1) 社会保険労務士東拓事務所 | Facebook

2022年1月16日
社会保険労務士東拓事務所

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